弟が2歳になり、私と同じ保育園に通うようになりました。
私は弟に対して、嫌いとか憎いといった感情は抱いていませんでした。
この頃、私たちはほとんど別々に暮らしていたので、一緒に遊んだ記憶もあまりありません。
ただ一つだけよく覚えていることがあります。
私は母に「弟が保育園でおもちゃを壊した」と嘘をついたのです。
なぜそんな嘘をついたのか、理由は覚えていません。
母は驚いて、保育園に確認していましたが、もちろんそんな事実はなく、母は不思議そうにしていました。
私は嘘をついてしまったことよりも嘘がバレるのではないかということを心配して、ハラハラしていました。
結局、それ以上の騒ぎにはならず、私も真偽を問われることはありませんでした。
今になって、この時の私は弟を悪者にすることで、自分が「良い子」であると母に示そうとしていたのではないかと思います。
愛着障害の人は嘘をつくことで、相手に気に入られる存在になろうとします。
安全基地がなく、心にぽっかりと空いた隙間を嘘をつき、演じることで埋めようとしているのです。
私はこれまで、幼少期の私は母よりも祖母との結びつきの方が強いと考えていましたが、やはり母にも自分の方を向いてほしいと考えていたのかもしれません。
弟よりも私の方が「良い子」だから見てほしいと無意識に発していたのでしょうか。
参考:「愛着障害 子ども時代を引きずる人々」 岡田尊司著 (光文社新書) P156-157
コメント